公園の区画整備や道路の拡張工事、庁舎の改修や移転。それぞれの工事に伴い、公共空間を彩ってきた彫刻・モニュメントも移設したいけれど、取り外し・運搬の際に壊してしまったら…。

弊社では、長年に渡るアート制作・設置工事のノウハウを活かした、専門の職人チームによる迅速丁寧な撤去・移設工事を行っています。


千葉市 通町公園 → 昭和の森|杭谷一東 作「SORGENTE」

千葉市中央区にある大理石彫刻SORGENTE(ソルジェンテ)。中央公園・通町公園の連結強化に係る公園再整備により、千葉市緑区・昭和の森へ移設することになりました。

中心部の重さが24トンある大きな大理石彫刻の移設プロジェクトでした。約半年間の期間を設けて大勢のスタッフで準備を行い、安全性を第一に作業を実施。無事に昭和の森への移設が完了いたしました。

彫刻モニュメントの移設工事がどのように行われるか、移設工事の流れを紹介します。移設をご検討の際は、こちらを参考ください。

1. 着工前

30年以上この地を見守ってきた当作品を、周りの景石とともに移設いたします。

2. 移設準備

移設作業の前にモニュメント全体の洗浄作業を行い、現況を撮影記録します。損傷が発生しやすい移設工事は、着工前の記録が大切な情報となります。

3. 仮設工事

公園へ重機が進入できるように歩道部分の切り下げ工事を行い、公園全体をバリケードで封鎖します。安全に工事を行うための重要な下準備です。

4. 敷き鉄板

公園の土のままだと重機がうまく移動できないため、敷き鉄板を敷設します。1枚あたり1.6tほどある鉄製の板です。通町公園では52枚敷設しました。

5. 周辺大理石撤去

本体だけでなく、貼り石と景石も移設先で再利用するため、石が壊れないよう慎重に撤去を行います。剥がした石はパレットにて一時保管します。

6. 景石撤去・運搬

本体の周りに配置してある景石を移設先へ運搬移動します。1個あたり1~2トン程度の重さのため16トンラフターを使用して、トレーラーでの運搬です。

7. 裾野部解体

貼り石と景石を撤去したら、本体の基礎をあらわにするためにコンクリート部分を解体します。鉄筋なども分別して廃棄物処理許可業者へ搬出。マニフェストも交付します。

8. 本体撤去作業

本体撤去作業

作業段取りの最終確認

移設工事専門スタッフが当日の作業段取りの最終確認を行います。

120トンラフター

24トンあるモニュメントのため、120トンラフターを使用します。

モニュメントに台付け

高所作業車2台とラフターを使用してモニュメントに台付けを行います。

8トン用スリング

使用するスリングは8トン用。2本を2点吊りで使用します[8トン ✕ 2本 ✕ 2点吊り=32トン]。

基礎の取り壊し

ラフター吊りにて適度なテンションをかけた状態で基礎を取り壊します。テンションをかけすぎると基礎が壊れた瞬間に本体が勢いよく外れてしまい、大きな事故に繋がるため熟練の経験が必要です。

基礎取外し完了

基礎解体と本体吊り上げの息の合った作業で、無事に本体と基礎を取り外すことができました。

9. 移設運搬

本体は、32トン低床トレーラーに積み込みを行い、安全運転で移設先へ運搬します。

10. 移設先準備工

通町公園の撤去工事と並行して移設先の「昭和の森」でも工事の準備をしていました。重機がぶつかってしまうため、街路樹40本の剪定を行いました。

11. 仮設工事

広い自然公園の中で工事範囲をバリケードで囲み、公園利用者の安全を確保します。

12. 敷き鉄板

重機の進入口から設置場所まで200m以上の距離があり、芝生の上を工事車両が進むことになるため、敷き鉄板とオレンジネットを取り付けて工事範囲を区切ります。

13. 地盤改良

本体24トン、基礎コンクリートを入れると160トン程度の重さになるため、ウルトラコラム工法にて地盤改良を行いました。

14. 基礎工事

下部7500×7500×1200H、上部3000×3000×800Hの基礎を作ります。

コンクリート打設

配筋工、型枠工を経てコンクリートを打設します。

アンカー用コア抜き

本体を受け入れる準備が整いました!

15. 移設工事

本体搬入

撤去の時と同様に120トンラフターを据え付け、低床トレーラーにて本体を搬入します。

地面に仮置き

スリングの取り付け位置を調整するため、本体を一旦地面へ寝かせます。

25トンラフターで補助吊り

不安定な形状のモニュメントのバランスをとるため、25tラフターで補助吊りをします。

スリング付替

本体を直立にし、垂直吊りできるバランスにスリングを付け替えます。長年の経験から適切なスリング位置を導き出します。

据え付け

アンカーと穴位置を合わせて据え付けを行います。重量物の下には絶対に手や身体を入れないようにしてください。

据え付け完了

モルタル充填を行いながら無事に本体の据え付けが完了しました!事故なく作業を行うことが出きたことに感謝です。

16. 周辺景石据付と貼石施工

通町公園で使用していた景石と貼り石を再利用して本体の周りを整備します。

マウンド基礎工事

まずは基礎工事。昭和の森ではマウンド形状で景石を配置します。

周辺景石据付

25トンラフターで景石を配置していきます。彫刻家監修のもと、通町公園のイメージを保つよう配置しました。

貼り石施工

景石の位置が決まったら、ランダムな貼り石を1枚1枚手作業で据え付けていきます。

移設完了

本体・景石・貼り石の施工が終わり、移設完了です!

17. 芝張り工

残土処分、敷き鉄板の引き上げが終わったら工事範囲の芝の復旧を行います。古い芝を剥がし、高麗芝を張り、目土を入れます。

新しい芝が根付くまで3か月程度養生が必要です。オレンジネットで張り替えた範囲をぐるっと囲み、立ち入り禁止にします。

18. 完成

芝張りから3か月が経ち、芝がきれいに生えそろいました。養生のオレンジネットも取り外し、これで完全に工事完了です。お疲れ様でした!


24トンある無垢の大理石彫刻を移設する難しいプロジェクトでしたが、各方面の専門スタッフと綿密な準備を行い、約半年間の十分な期間を設け、安全性を第一に考えて作業を実施し無事に昭和の森への移設することができました。

彫刻・モニュメントの移設でお困りの際はぜひ一度お問い合わせください。

千葉市 通町公園 → 同公園内|大須賀力 作 「愛・平和」

当初はセメント像として寄贈された本作品ですが、老朽化にともない、1986年ブロンズ像に改修して再設置されました。ソルジェンテと同じく、通町公園再整備計画により同公園内で移動を行いました。

府中市美術館・府中の森芸術劇場|久保制一 作「ひな」「なつ」「つむ」

府中市にある「府中グリーンプラザ」が解体されるため、設置してあった彫刻・立体作品を「府中市生涯学習センター」「府中の森芸術劇場」「府中市美術館」にそれぞれ移設しました。

コンクリート床面に設置された石材の台座を基礎から剥離し、移設先のコンクリート床面および地表面の新規基礎へ再設置を行いました。緩衝材による養生後、重機や手作業での接地面の破砕・分離。スリングを確実に取付け、クレーン吊上げにより搬出。移転先コンクリート面および地表面に新規基礎・アンカーを構築し、厳格な水準を取りながら、確実な設置を行いました。

小田襄 作「円柱領域」

豊島区 中池袋公園「ふくろうの像」一時撤去・再設置工事

中池袋公園の改修にともない、公園整備が終わるまで一時的に撤去・保存を行い、整備後に再設置を行いました。

豊島区 西池袋公園「田園交響楽」移設工事

JR池袋駅前にある「池袋西口公園」改修工事のため、設置されているモニュメントを「西池袋公園」移設しました。

越谷市 庁舎前ブロンズ彫刻移設工事

越谷市役所庁舎の改修に伴い、庁舎前のブロンズ作品を別施設へ移設しました。

一般企業 屋内ロビーに設置された銅像を屋外に移設

一般企業様の本社ロビーに設置してある銅像を、屋外の芝生植栽地表面へと移設。ロビーは、床面壁面が大理石でできており、傷がつかないよう厳重な養生と、屋内作業用の重機を使用しての慎重な作業を要します。

府中市住吉町 由来碑移設

道路の拡張工事により移動を余儀なくされた由来碑の移設工事です。ピンコロ台座も再製作いたしました。

流山市民総合体育館 ブロンズ像及び台座移設

台座ごとブロンズ像を別の場所へ移設いたしました。同時にブロンズ像と台座の固定を補強しました。仕上げはブロンズ像ウレタンコーティングにて美しさを取り戻しました。

豊島体育館 ブロンズレリーフ移設

壁面ブロンズレリーフを別の場所へ移設いたしました。ブロンズ彫刻家監修の下、いかに作品に影響を与えずに移設できるか検討しながら慎重に作業をいたします。

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